みのりクリニック
院長・医学博士 蔵谷 弘子
経歴
昭和41年 香川県琴平町に生まれる
昭和60年 香川県立丸亀高校 卒業
平成04年 香川医科大学(現 香川大学医学部) 卒業
平成08年 香川医科大学大学院 医学研究科博士課程 卒業
みのりクリニックの新たなスタート
令和元年10月より、関連施設の看護小規模多機能型居宅介護然にて、障がい児・者を対象にした「いいケアサポートみのり」を開設します。「0-100プロジェクト」です。
0歳から100歳以上まで、どのような疾病や障がいを抱えていても住み慣れた地域の良い環境で最期まで生活できるようにサポートすることが目的です。
これまで、私は、高齢者、特に認知症の方の生活支援や終末期の看取りを行ってきました。さらに、老衰、ガン末期の看取りにも力を注いできました。これらの方々は、頑張って生きてきたにもかかわらず、無用な高度医療により自由に逝くことさえ許されない状況でした。苦痛を緩和して穏やかに見送ることで「自分らしく逝く」ことを支えてきました。
一方で、最近話題となっている「医療的ケア児」は、高度医療に救われた子供たちです。現在、香川県内には約180名の医療的ケア児がいると推測されています。そして、この子たちのほとんどには、自宅と医療機関を行き来するだけで、本来の意味での社会的な居場所がありません。このような子供たちをご家族と一緒に支え、地域で生活できる、そのような場所にしたいと考えています。
みのりクリニックは、開設当初は、「なんでも気軽に相談できるかかりつけ医」を目指してきました。今の外来の状況をみると、ほんとにちょっとしたことでも相談に来てもらえる、また、他の医療機関で何かを診断された時でも、私に意見を求めてくれるありがたい関係が出来てきました。その後は「認知症と女性を中心に」をテーマに、認知症の方への医療看護介護、認知症の方を介護する家族への支援を提供してきました。この間には、認知症サポート医として、坂出市認知症初期集中支援チームの一員として、地域の認知症施策にも助言を行ってきました。坂出市内で、「認知症で困ったらみのりクリニック」という流れができたと感じています。
そしてこれからは、「0~100歳以上、人生の最期まで相談できる、死ぬ時くらい好きにさせられる医療看護介護の提供」を目標にしていこうと考えています。
人は誰でも、「死」に対して恐怖や悲しみ、後悔といった負の感情を抱きやすいものです。
しかし、「死」は、その方自身が生き切った証であり、その方の人生という劇のクライマックス・最終ステージです。その主役ができる限り穏やかに、生きてきた喜びと感謝をもって、逝ききれるようにできる舞台監督になろうと私は考えています。
治療を放棄するわけではありません。治療しながらでも、その人らしく生きることができることを目指したいと思っています。
「がんと診断されたのだけどどうしよう」「認知症といわれてしまった」「最近、入退院を繰り返していて元気がなくなっている」など、今まで以上に気軽にご相談ください。
一概には言えませんが、高齢者のがん治療に対しての治療の必要性、治療を受けなかった時の緩和ケアの提供なども含め、「然るべき生き方」を一緒に考えていきたいと考えています。
在宅診療、在宅ホスピス、在宅看取りなど、今後ともみのりクリニックの活動をよろしくお願いいたします。
令和元年10月1日 医療法人然 みのりクリニック 理事長 蔵谷 弘子
「認知症とみなされていた老婦人の遺品のなかから、入院中につづっていた詩がみつかりました」
パット・ムーア : 変装、朝日新聞社.1988より引用